聞こえる人も、聞こえにくい人も、同じようなツアー体験を。 手話通訳で届けた、ガイドの「その瞬間の言葉」
2026年08月07日
- 観戦体験の価値向上

MUFGスタジアムツアーでは、ピッチやロッカールームなど、普段は立ち入ることのできない場所を巡りながら、スタジアムの魅力を体感いただけます。その魅力を、障がいの有無にかかわらず、誰もが同じように楽しめるものでありたい。そんな想いから、スタジアムツアーでは、参加される方一人ひとりに寄り添いながら、同じ時間を共有できるインクルーシブな体験づくりを目指しています。今回は、聴覚に障がいのあるゲストとともに巡った、ツアーの様子をご紹介します。
同じツアーを、同じように楽しんでいただくために
ある日のツアーに、聴覚に障がいのあるお二人が参加されました。ツアーでは、ガイドが適宜自由時間をはさみながら、グループごとに見どころを巡っていきます。各所で聞きごたえのある解説を行うため、当初はあらかじめ用意した説明資料をご覧いただくことを想定していました。けれど、ツアーの楽しさは、決まった台本に沿った説明だけではありません。「先週の試合では…」「今日くらいの天気だと…」といった、ガイドがその場でふと口にする小さなエピソードが、参加者の心に残ることも多くあります。そうした台本にはない言葉や、その場の空気感も、聴覚に障がいのある方に同じタイミングで感じ取っていただきたい。そんな想いから、今回は手話同時通訳に同行していただきました。
手話通訳と巡る、いつものツアー
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迎えた当日。ガイドが話し始めると同時に、通訳者の手が動き出します。お二人は、ガイドの表情と通訳者の手話、そしてスタジアムの景色を交互に見ながら、ゆっくりとツアーを進んでいきました。
「ではこれから貴賓室に向かいます。世界中のVIPが訪れた…」という解説に続けて、ガイドがその日ふと口にした小さなエピソードも、間を置かずに手話で伝えられていきます。台本どおりの案内だけでなく、その場で生まれる言葉まで含めて届けられたことが、今回の大きな手応えでした。
通常、ツアーは90分にわたる充実した内容のため、手話通訳者の方には2名体制でご対応いただきました。休む間もなくガイドの言葉を受け止め、手を止めることなく伝え続けるのは、相当な体力と集中力を要したことと思います。お二人が交代しながら最後まで丁寧に向き合ってくださったおかげで、ガイドの解説をひとつも取りこぼすことなくお届けできました。その真剣な姿から、手話通訳という仕事の奥深さをあらためて教えていただいたように感じています。
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ツアーの後、お二人からは「内容がしっかり伝わって、楽しめた」というお言葉をいただきました。何気ないひとことのようで、私たちにとっては大きな一歩となりました。
ツアー以外にも。スタジアムにある「聞こえ」を支える設備
今回のツアーをきっかけに、あらためてスタジアム内にある、聴覚に障がいのある方向けの設備もご紹介します。
まず観客席には、聴覚に障がいのある方や補聴器・人工内耳を使用する方向けに、「集団補聴設備(ヒアリングループ)」を、スタンドの複数のエリアに分散して設置しています。これは、床下などに設置した専用のアンテナから、場内アナウンスの音声を磁気信号として直接届ける仕組みで、周囲の歓声や反響音に紛れることなく、クリアな音声を受け取ることができます。

またエレベーター内には、地震などの非常時に文字と多言語表示で状況を知らせるモニターを設置。緊急時に呼び出すボタンも、音声だけでなく映像で会話できる仕組みを備え、聴覚に障がいのある方が単独で乗っていても状況を把握し、意思疎通ができるよう配慮しています。
こうした設備の一つひとつは小さな工夫でも、積み重ねることで、スタジアム全体の「安心して過ごせる場所」につながっていくと考えています。聞こえる人も、聞こえにくい人も、同じ時間に、同じ空気を感じながら楽しめること。KOKURiTSU NEXTが目指す「人々の希望と感動が交差する場」は、そうした小さな積み重ねの先にあると考えています。
写真の掲載については、ご参加いただいたお二人と通訳者の方に、お顔が映らない形での使用についてご了承をいただいています。